Claude Codeを使って、スマホアプリを個人開発し、着手から21日でApp Storeに公開するまでの記録をお伝えさせていただきます。
筆者はSIerでエンジニアを約7年、SAPコンサルタントを約3年経験し、現在は生成AI・LLMを使ったアプリケーション開発に携わるAI開発エンジニアです。今回のアプリは本業とは別の個人開発で、作ったのはテニスの練習記録アプリです。2026年8月12日に着手し、9月2日にApp Storeで公開されました。
「AIでアプリが作れる」という話はよく見かけますが、実際にどのくらいの期間と体制で、何にお金がかかり、どこでAIに任せきれなかったのかまで書かれた記録は多くありません。この記事では、期間・体制・開発規模・費用・AIに任せられなかった作業を、実際の数字を出しながらまとめます。
開発期間・費用・体制のまとめ
詳細は後ほど説明しますが、まず期間・体制・費用のまとめは以下となります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 作ったもの | テニスの練習記録アプリ(iPhone向け・無料・広告なし) |
| 期間 | 2026年8月12日に着手 → 9月2日にApp Store公開(21日) |
| 作業時間 | 週10時間程度 |
| 開発環境 | Claude Code のDesktopアプリだけ(エディタ・CLIは使っていない) |
| 体制 | 筆者1人+7つの役割のサブエージェント。WindowsとMacの2台で並行 |
| 審査 | 差し戻し1回(ビルドは作り直さずに承認) |
| 費用 | Claude Max 20xプラン1か月分と、Apple Developer Programの登録費が中心(詳しくは後述) |
- 機能は最初の5日間でひととおりそろい、後半の約1週間はApp Store公開の手続きが中心だった
- AIに任せられなかったのは、申込・支払い・審査・実機での確認など「本人がやる必要がある作業」だった
- AIの「確認しました」をそのまま信じて起きた事故もあり、報告の中身を確かめる役は人に残った
作ったのはテニスの練習記録アプリ
社会人になってからテニスを始めた方・再開した方に向けて、練習や試合を記録して上達につなげるためのアプリです。出発点は筆者自身で、自分が欲しいものを作りました。
何ができるアプリか
機能は、記録・振り返り・次の練習の準備の3つに分かれます。
- 練習・試合の記録(良かった点・悪かった点・課題のカテゴリ)
- 次回のテーマ設定と、練習前のチェック
- 課題の一覧と、よく出る課題のランキング
- 練習頻度・勝率の推移などの統計
- 予定の管理と通知
- データのバックアップと復元
決めていた3つの設計方針
作り始める前に、次の3つだけは決めていました。練習の合間やコートの脇で使うことを前提にしたためです。
- 1回の記録は60秒以内で終わる
- 親指だけで操作できる
- データは端末の中だけに保存する
無料・広告なし・データを収集しない
収益化はしていません。無料で、広告も課金もありません。有料の課金は、要件を決める段階で対象外にしました。
アクセス解析やトラッキングも入れていないため、App Storeのプライバシー表示は「データを収集しません」です。サーバーや会員登録の仕組みを持たない分、個人で運用し続けやすい構成になっていると思います。
着手から公開までの21日
最初のコミット(変更の記録)からApp Storeでの公開までの流れは以下のとおりです。
| 日付 | 出来事 |
|---|---|
| 8月12日 | 着手。骨組みを作り、Webアプリ(PWA)として動く状態に |
| 8月15日 | 7つの役割のサブエージェントと、テストの仕組みを導入 |
| 8月16日 | 最初に決めた機能がひととおり実装できた |
| 8月20日 | App Storeで公開すると決定(iPhoneのみ・配信は日本のみ) |
| 8月26日 | Apple Developer Programに申込。Webアプリを包んでiPhoneアプリ化 |
| 8月27日 | Apple Developer Programが有効になる |
| 8月28日 | App Storeの審査に提出 |
| 9月2日 | 差し戻し1回を経て承認。同日に公開 |
PWAは、ブラウザで開いてホーム画面に追加すればアプリのように使えるWebアプリのことです。最初はこの形で作り、公開を決めてからiPhoneアプリにしています。
表を見ると分かるとおり、機能はほぼ最初の5日間でそろっていて、後半はApp Storeで公開するための手続きが中心でした。Apple Developer Programの申込は1回目が「現在、ご登録いただくことができません」という表示で通らず、申込み直しています。
公開後は、9月4日にv1.1、9月6日にv1.2、9月12日にv1.3と更新を重ね、9月19日にv1.4を審査に出しました。9月19日からは毎週土曜にリリースする運用にしています。
どんな体制で作ったか
Claude Code Desktopアプリだけ・エディタもCLIも使っていない
開発はすべて、Claude CodeのDesktopアプリ(Codeタブ)の中で進めました。コードエディタも、ターミナルで動かすCLI版も使っていません。筆者がしたのは、チャットで作りたいものと判断を伝え、出てきた結果を確認することです。
Claude Codeそのものの機能や導入方法は、公式のドキュメントにまとまっています。
7つの役割のサブエージェントを1つのセッションから指揮した
サブエージェントは、Claude Codeが作業の一部を任せる別のAIです。今回はPM・UX・Architect・FE・QA・UXR・RMの7つの役割を用意し、企画・画面設計・設計・実装・テストなどを役割ごとに分担させました。
筆者はそれぞれと個別にやり取りするのではなく、1つの会話(セッション)から全体に指示を出していました。そのため筆者の仕事は、「何を作るか決める」「出てきたものを確認する」の2つが中心になりました。
WindowsとMacの2台で並行した
Windows 11とMacの2台で並行して進め、MacにはiPhone向けの動作確認とApp Storeへの提出を担当させていました。iPhoneアプリの提出にはMacのXcodeが必要なためです。Macは手持ちのものを使っています。
2台で同時に作業すると便利な反面、両方で同じ番号を振ってしまう衝突も起きました。この失敗は後ほど触れます。
技術構成
使った技術は以下のとおりです。サーバーを持たず、会員登録の仕組みもありません。
| 用途 | 使ったもの |
|---|---|
| 画面・アプリ本体 | Next.js 16/React 19/TypeScript/Tailwind CSS v4 |
| グラフ・日付処理 | Recharts/date-fns |
| データの保存 | 端末内のデータベース(IndexedDB)のみ |
| iPhoneアプリ化 | Capacitor 8 |
| Web版の公開 | Vercel(GitHubと連携し、本番への反映は自動) |
| テスト | Playwright/Vitest |
iPhoneアプリ化にCapacitorを選んだのは、すでに作ってあったWebアプリの書き出し結果を、そのままiPhoneアプリの中に載せるだけで済むからです。Web版を使っている人を切らずに、同じ中身でiPhoneアプリも出せます。
早い段階でWebアプリを静的なファイルとして書き出す設定に切り替えていたため、iPhoneアプリ化で技術的につまずくことはほとんどありませんでした。今回の開発でうまくいった判断のひとつです。
数字で見る開発規模
2026年9月21日時点(着手から41日目)の規模は以下のとおりです。
| 項目 | 数 |
|---|---|
| コミット(変更の記録) | 約3,600 |
| プルリクエスト(変更のまとまり) | 252本 |
| ソースコード | 約5.7万行 |
| 画面を操作するテスト | 約1,100件 |
| 部品単位のテスト | 約2,900件 |
ただし、この数字は人の作業量ではありません。サブエージェントが自分で進めた分を含んでいて、コミットはあらゆる時間帯に記録されています。筆者自身の作業は週10時間程度です。
行数やコミット数で「すごい」と判断しないでください。AIは量を出すのが得意なので、量より「中身を確かめられる体制があるか」の方が大事だと思います。
AIに任せられなかった作業
コードを書く作業はほぼClaude Codeに任せられましたが、次の作業は筆者が自分でやる必要がありました。
| 作業 | AIに任せられなかった理由・起きたこと |
|---|---|
| Apple Developer Programの申込と支払い | 本人の申込と決済が必要。1回目は通らず申込み直した |
| XcodeでのApple IDの再サインイン | 提出のたびにセッションが切れる。画面上は「サインイン済み」に見えるので気付きにくい |
| App Store Connectの入力と審査への提出 | ストアの掲載情報の入力と提出は人の操作 |
| アプリ名の商標確認 | 公開する名前の判断は人が行った |
| ドメイン取得・DNS・メールの設定 | 外部サービスでの契約と設定 |
| iPhone実物での確認 | 親指が届くか、屋外で見えるかは実機を持って試すしかない |
一方で、アプリへの署名のエラーは、人がXcodeで開発チーム(Team)を選んだあとはAI側で解決できました。アカウント・支払い・契約・実物の確認は人、それ以外はAIという分かれ方でした。
▼App Store公開の登録・審査・差し戻しの実録はこちら▼


失敗した設計と事故
21日で公開できたとはいえ、失敗がなかったわけではありません。作り直した設計と、AIに任せて起きた事故の代表的なものを挙げます。
- データベースが二度と開けなくなった:保存データの形を変える処理の書き方を誤り、その環境ではアプリのデータベースが開けなくなった
- 作業記録のファイルが14日で2MBに膨らんだ:3つのファイルに分けて、2,030KBから61KBまで減らした
- 2台で同じ番号を二重に振った:WindowsとMacの両方で同じ番号を別々の課題に振ってしまい、着手を先に宣言するルールと、番号は変更を出す直前に振るルールで防ぐようにした
- シミュレーターでの確認を「実機で確認」と報告された:パソコン上の疑似iPhoneで確かめた結果が実機の確認として扱われ、ある不具合が3日間「直った」ことになっていた
- ストアへのリンクがダミーのまま17日間:紹介ページのApp Storeリンクが仮のままで、週次リリースの初回で気付いた
シミュレーターの件のあとは、「実機」と「シミュレーター」を言葉の定義として分けて、AIに報告させるようにしました。AIの報告は、言葉の意味まで決めておかないとずれると感じました。
失敗した設計5つと事故6つの詳細、作り直した方法は、別の記事にまとめています。
▼Claude Codeに任せて失敗したことの詳細はこちら▼


かかった費用
費用は、筆者が実際に支払った額で書きます。プランの料金は変わることがあるため、最新の金額は公式の料金ページでご確認ください。
| 項目 | 筆者の支払い |
|---|---|
| Claude Max 20xプラン | 33,000円(1か月分) |
| Claude Proプラン | Max 20x以外の期間に利用 |
| Apple Developer Program | 12,800円 |
| 独自ドメイン | 15.62ドル |
| Vercel(Web版の公開) | 無料 |
| 問い合わせ用メール(iCloud+) | 以前から契約していたものを利用 |
| Mac | 手持ちのものを利用 |
Claudeは、API(使った分だけ払う従量課金)も他のAIツールも使っていません。Max 20xはブログ運営と並行で使っていて、それでも毎週、使用量の上限まで達していました。アプリ開発だけの使用量ではない点はご注意ください。
Claudeの料金プラン(公式)/Apple Developer Program(公式)
AI開発エンジニアとして作ってみて思ったこと
作ってみて一番感じたのは、人の仕事がなくなったのではなく、中身が「決める」と「確かめる」に移ったということです。どんな機能にするかを決め、AIの報告が本当かを確かめ、申込や審査のような本人にしかできない手続きをこなす。21日のうち筆者がしていたのは、ほぼこの3つでした。
特に「確かめる」には、開発の知識が要りました。シミュレーターと実機の違いが分からなければ、「実機で確認しました」という報告の誤りには気付けません。AIがコードを書いてくれる時代でも、基礎を知っていることの価値は残ると思います。
筆者がSAPコンサルタントからAI開発エンジニアに移ったきっかけも、Claude Codeを触ったときの手応えでした。その転職で何を考えたかは、別の記事にまとめています。
▼SAPコンサルからAIエンジニアに転職した体験談はこちら▼


AIを使う開発を仕事にしたい方は、AIエンジニアの年収相場も確認しておくと、キャリアの判断材料になります。
▼AIエンジニアの年収相場はこちら▼


さいごに
Claude Codeでテニスの練習記録アプリを個人開発し、着手から21日でApp Storeに公開するまでの期間・体制・規模・費用・AIに任せられなかった作業をお伝えしました。
要点を1つにまとめると、実装はAIに任せられるが、決めること・確かめること・本人がやる手続きは人に残るです。
これからAIでアプリを作ってみたい方は、まず作るものの方針を3つほど文章にし、Apple Developer Programのように日数がかかる手続きを早めに始めてみてください。アプリの完成を待たずに申し込んでおくと、公開までの待ち時間を減らせると思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
※本記事の情報は2026年9月時点のものです。料金・登録条件は変更される場合がありますので、最新情報は公式サイトでご確認ください。


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