「SAPコンサルは2027年問題が終わったら仕事がなくなるのでは」「AIに置き換わるのでは」と不安になっていませんか。この記事では、SAPコンサルの将来性を、SAP公式で確認できた保守期限と、筆者の経験にもとづく見解に分けてお伝えさせていただきます。
筆者はSAPのFI(財務会計)コンサルとして3年働き、S/4HANA移行案件にも関わりました。その後、AIエンジニアに転身しています。SAPの現場とAI開発の両方を経験した立場から、公式情報で言えることと、私の見立てにすぎないことを分けて書きます。
- この記事はこんな方におすすめです
- 未経験からSAPコンサルを目指すか迷っている方
- 今の案件が移行プロジェクトで、終わった後のキャリアが不安な方
- AI時代にSAPの仕事がどう変わるのか知りたい方
結論:需要は当面続くが、「SAPができるだけ」の人は選別される
先に結論です。SAP公式の保守期限を見る限り、移行需要が2027年末で急に消えるとは言えません。延長保守は2030年末まで用意されており、S/4HANAは少なくとも1つのリリースが2040年まで保守されると明記されています(詳細は後述)。
ただし、ここからは私の見解です。需要の中身は「導入・移行の作業量」から「運用・改善・業務理解を求める仕事」へ寄っていくと思います。AIで減りやすいのは定型の作業で、業務の判断や社内の合意形成は残りやすいというのが、現場とAI開発の両方を経験した実感です。断定はできません。
- 事実:保守期限はSAP公式で確認でき、2027年末で終わりではない
- 見解:仕事の中心は、移行作業から運用・改善へ移っていく
- 見解:「SAPの設定ができるだけ」の人は選別されやすく、業務理解と広げ方が差になる
この3点を、次の節以降で順に確認していきます。
こんな悩みはありませんか?
未経験の方は、「今からSAPコンサルを目指しても、2027年以降に仕事が減らないか」と悩みやすいと思います。すでに現場にいる方は、「今の案件が移行プロジェクトで、終わったら次があるのか」「AIで仕事がなくなるのでは」と感じていることが多いはずです。
この記事は、需要・2027年問題・AI時代の3点に絞って答えます。年収は別記事のSAPコンサルの年収相場|雇用形態・経験年数・分野別の傾向を解説に任せ、本記事では数値を書きません。仕事のつらさや「やめとけ」という話は、SAPコンサルはやめとけ?3年働いて離れた本人が実態を語るで詳しく書いています。
SAPコンサルとは?将来性を考える前の前提
SAPコンサルは、大きく2種類に分けて考えると整理しやすいです。ひとつは業務系で、FI(財務会計)・CO(管理会計)・MM(購買・在庫)・SD(販売)といったモジュールを担当し、顧客の業務をSAPに合わせて設計します。もうひとつはテクノロジー系で、ABAP(SAP上の開発言語)やBasis(基盤の運用)を担当します。
製品面では、長く使われてきたECC 6.0と、その後継のS/4HANAがあります。企業がECC 6.0からS/4HANAへ移ることが、いわゆる「2027年問題」の背景です。市場シェアのような数値は、一次情報で確認できていないため載せません。
各モジュールの違いや資格の種類は、SAP資格の難易度比較|FI・CO・MMどれを取るべき?にまとめています。
需要の中身①:2027年問題とS/4HANA移行は、いつまで続くのか
「2027年で終わる」「ずっと続く」という両極端な見方を、まず公式情報で整理します。移行案件の実際の中身は、S/4HANA移行案件はどんな仕事?中で働いたFIコンサルが実態を語るで書いています。
なお、「2025年問題」という言い方を見かけた方もいるかもしれません。当初、Business Suite 7のメインストリーム保守は2025年末までとされていましたが、2020年2月のSAPの発表で2027年末まで延びました(SAP公式ニュース)。「2025年問題」と「2027年問題」は、同じ移行期限の話を指しています。
公式情報で分かる保守期限の整理
次の表は、2026年10月にSAPサポートの公式ページで確認した内容です。
| 項目 | 公式に記載されている内容 |
|---|---|
| SAP Business Suite 7(ECC 6.0を含む)のメインストリーム保守 | 2027年12月31日まで |
| オプションの延長保守 | 2028年初〜2030年末まで用意されている。通常の保守料率に2%ポイント上乗せされる |
| 延長保守を選ばない場合 | カスタマー固有保守(customer-specific maintenance)になると記載されている |
| S/4HANAの保守 | 少なくとも1つのS/4HANAリリースが2040年まで保守される |
出典:SAPサポート 保守戦略(Business Suite 7とS/4HANA)、SAPサポート 戦略ページ(確認日:2026年10月)。保守期限は変わる可能性があります。このほかに条件付きの追加オプションが案内されている場合もあるため、最新情報は公式サイトでご確認ください。
移行需要は2027年末で止まるのか(筆者の見立て)
ここからは公式情報ではなく、私の考えです。延長保守があるため、2027年末までに移行しきれない企業が出ます。保守料の上乗せがあるので、延長を前提にした長期の先送りは考えにくく、移行時期が後ろへずれる形になるでしょう。
つまり「2027年末で需要が崖のように落ちる」とも「ずっと同じ量が続く」とも、私は考えていません。企業ごとに時期がばらけ、移行の山がなだらかに後ろへ伸びるイメージです。ただし将来の案件量や単価の予測は、裏取りできる数字がないため書きません。
需要の中身②:2027年以降に残る仕事と、減っていく仕事
この節は統計ではなく、筆者がFIコンサルとして見た範囲の話です。一般的な割合として受け取らないでください。
移行フェーズの仕事
私が関わった移行プロジェクトでは、現行システムの棚卸し、新システムとの差分整理、設定、データ移行の確認、テストの調整といった作業が多くを占めていました。作業量が大きく、人手を求められるのはこのフェーズです。
移行後(運用・改善)フェーズの仕事
移行が終わっても、運用保守、機能追加、周辺システムとの連携、グループ会社への展開といった仕事は続くと考えています。このフェーズでは、問い合わせに答える力、業務の変化に合わせて設定を見直す力、現場の担当者と調整する力が求められます。
移行では「決まった作業をこなす役割」が多く、運用では「なぜその設定なのかを説明できる役割」が重くなる、というのが私の実感です。
AI時代にSAPコンサルの仕事はなくなる?筆者がAI開発を経験して感じたこと
結論から言うと、「仕事がなくなる」というより「作業の中身が変わる」と思っています。筆者はSAPコンサルのあとAIエンジニアになり、AIが得意なことと苦手なことを実務で見てきました。AI時代のIT資格の考え方は、AI時代にIT資格は意味ない?AI開発エンジニアが経験から答えるで書いています。
AIで楽になる作業・変わらない作業(表)
次の表は筆者の見解です。統計や調査結果ではありません。
| 作業 | AIで楽になる度合い(筆者の見解) | 理由 |
|---|---|---|
| 要件整理の議事録作成 | 楽になりやすい | 文章の整理・要約は得意な領域 |
| 設定内容のドキュメント化 | 楽になりやすい | 定型の書式に落とす作業が中心 |
| テストシナリオの作成 | 一部楽になる | 叩き台は作れるが、顧客固有の例外の洗い出しは人が必要 |
| ABAPのコード補助 | 一部楽になる | 雛形の作成は助かるが、仕様の判断と検証は人が責任を持つ |
| 顧客との合意形成 | あまり変わらない | 立場の違う人の調整は、人同士のやり取りが中心 |
| 業務プロセスの判断 | あまり変わらない | 「その会社にとってどうするか」の判断は、業務理解と責任が要る |
AIは、決まった型の文章や雛形づくりを速くしてくれます。一方、会社ごとの業務ルールの例外や、部門間の利害調整は、情報が文書に残っていないことが多く、人が聞き出して決める場面が残りやすいと感じています。
SAP社自身も、生成AIアシスタント「Joule」を提供しています(SAP公式ニュース)。対応する製品や機能は変わっていくため、使える範囲は公式サイトでご確認ください。
AI時代に残りやすいSAPコンサルの特徴
以下も筆者の見解です。次のような人が残りやすいと考えています。
- 会計・販売などの業務を理解し、設定の理由を言葉で説明できる
- AIを使って作業を速くしつつ、出力の正しさを自分で判断できる
- 顧客と対話し、決めるべきことを決めさせる進行ができる
将来性がある人・薄れる人の違い(セルフチェック)
SAPコンサルの難易度は、公式に数値化された指標がなく、モジュールや担当範囲、前職の経験で大きく変わります。そのためここでは難易度や勉強時間を断定せず、「将来性につながりやすいスキル」を判断軸として整理します。以下は当サイトの目安で、公式の基準ではありません。
- 会計・販売などの業務知識を、自分の言葉で説明できる
- 設定の「やり方」だけでなく「なぜそうするか」を答えられる
- 担当モジュール以外(他モジュールや周辺システム)の話にも付いていける
- データ、クラウド、AI活用など、SAPの外側にも関心がある
- 顧客の担当者と直接話し、要望を整理した経験がある
- AIツールを使って、自分の作業を効率化している
逆に、1つのモジュールの設定作業だけに特化し、業務の理由を説明できない状態だと、作業単位で代替されやすくなると私は思います。資格が必要かどうかはSAPコンサルに資格は必要?FI認定を持つ元コンサルが実体験で答えるで、資格の種類は前述のSAP資格の難易度比較|FI・CO・MMどれを取るべき?で確認できます。
学習・経験を積むロードマップ(未経験/現役別)
未経験の人の進め方
未経験の方は、順に次の流れを考えてみてください。
- ITの基礎と、会計・販売などの業務の基礎を学ぶ
- SAPに関わる入口を探す。私の経験では、SIerやコンサルファームの研修を経由する道が現実的だと思います
- 認定資格は、必要に応じて取る
具体的な転職ルートは、未経験からSAPコンサルになるには?FIコンサルになった本人が実体験で解説に詳しく書いています。
現役コンサルの人の進め方
すでに現場にいる方は、まず今の移行案件の経験を「業務を理解して設計できる」形で言語化しておくことをおすすめします。「何を設定したか」ではなく、「どの業務課題に対して、なぜその設計にしたか」を書き出しておくと、次の案件でも転職でも使えます。そのうえで、運用改善や周辺領域(データ、クラウドなど)へ少しずつ広げていくと、選択肢が増えます。
SAPコンサル経験の先にあるキャリアの選択肢
SAPの経験を積んだあとの道は、大きく3つに分かれます。
- SAPを続ける:専門性を深めるか、マネジメントへ進む
- 周辺へ広げる:クラウド、データ、AIなど
- エンジニア職など別の職種へ移る
筆者は周辺へ広げた末にAIエンジニアへ転身しました。経緯はSAPコンサルで年収840万。それを捨ててAIエンジニアになった話に書いています。転身後の年収感はAIエンジニアの年収は?AIコンサルとの違いと相場を実体験で解説、開発職へ戻る話はSAPコンサルからエンジニアに戻れる?3年ぶりに開発職へ転職した実体験で紹介しています。
転職市場でのSAPコンサルの見られ方と注意点
転職エージェントや求人サイトの記事は、「売り手市場」「人材不足」と書くことが多いです。ただしこれは求人を扱う立場の記述で、数値の出典も記事ごとに異なります。「SAPは人が足りない」という文言は、そのまま鵜呑みにせず、出典や根拠が書かれているかを確認することをおすすめします。
年収は2027年問題との関係を含め、SAPコンサルの年収相場|雇用形態・経験年数・分野別の傾向を解説に任せます。また、未経験で入れる枠は限られる可能性があります。応募前に、研修制度の有無と、入社後に担当するモジュールを確認しましょう。
SAPコンサルへの転職・キャリアチェンジのステップ
- 自分の立ち位置を確認する:未経験なのか、現役なのか、SAPから離れたいのかを整理します
- 情報収集する:転職エージェントに相談し、求人の案件内容・研修・担当モジュールを確認します。応募すると決めていなくても、情報収集だけで使えます
- 複数社を比較して判断する:1社の話だけで決めず、比べてから決めます。今の会社に残る選択肢も、比較対象に入れてください
SAP・IT系の転職相談に使えるエージェント
相談先のひとつとして、IT特化型のGeeklyがあります。実際に使った感想は、Geeklyを実際に使った感想|資格を活かした転職に強いIT特化エージェントにまとめています。自社開発やリモートを重視する方は、エンジニア転職に強い「AIdea Career」を紹介も選択肢になります。
SAPの求人があるかどうかは時期によって変わります。「必ずある」とは言えないため、相談の際に、現時点でSAP関連の案件があるか、研修制度があるかを確認してください。
よくある質問(FAQ)
2027年問題が終わったらSAPコンサルの仕事はなくなる?
公式情報では、ECC 6.0を含むBusiness Suite 7のメインストリーム保守が2027年末まで、延長保守が2030年末まで、S/4HANAは少なくとも1リリースが2040年まで保守されると確認できます。2027年末で仕事がなくなるとは言えません。ただし仕事の中身は運用・改善へ寄っていくと、筆者は考えています。
AIでSAPコンサルは不要になる?
議事録やドキュメント作成のような定型作業は、AIで楽になりやすいです。一方、業務の判断や合意形成は人が担う場面が残りやすいと感じています。これは筆者の見解で、断定はできません。
未経験から今から目指しても遅い?
公式の保守期限を見る限り、需要がすぐに消える状況ではありません。ただし、未経験で入れる枠は限られる可能性があるため、研修制度の有無を確認してください。進め方は、まずITと会計の基礎を学び、研修のある入口を探す流れです。具体的なルートは未経験からSAPコンサルになるには?FIコンサルになった本人が実体験で解説をご覧ください。
SAPコンサルの経験は他の職種で活きる?
私自身、業務理解や顧客との調整の経験が、AIエンジニアになってからも役立ちました。ただし役立ち方は人や転職先によって異なります。
まとめ:将来性は『SAPだけ』ではなく『業務理解+広げ方』で決まる
この記事では、SAPコンサルの将来性を、公式の保守期限と筆者の見解に分けて整理しました。需要は当面続くと見られますが、「SAPができるだけ」の人は選別されやすいと私は考えています。将来性は、SAPだけでなく、業務理解とその広げ方で決まります。
次に読む記事は、状況によって選んでください。
- 未経験の方:未経験からSAPコンサルになるには?FIコンサルになった本人が実体験で解説
- 現役でSAPから離れたい方:SAPコンサルはやめとけ?3年働いて離れた本人が実態を語る、SAPコンサルからエンジニアに戻れる?3年ぶりに開発職へ転職した実体験、SAPコンサルで年収840万。それを捨ててAIエンジニアになった話
- 年収を知りたい方:SAPコンサルの年収相場|雇用形態・経験年数・分野別の傾向を解説
転職の相談先を探している方は、Geeklyを実際に使った感想|資格を活かした転職に強いIT特化エージェントも参考にしてください。最後までお読みいただきありがとうございました。
※本記事の情報は2026年10月時点のものです。最新情報は公式サイトでご確認ください。


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