AIがコードを書いてくれる時代に、プログラミングを学ぶ意味はあるのか。AIでスマホアプリを作って公開した体験から、筆者の答えをお伝えさせていただきます。
筆者はSIerでエンジニアを約7年、SAPコンサルタントを約3年経験し、現在は生成AI・LLMを使ったアプリケーション開発に携わるAI開発エンジニアです。本業とは別の個人開発で、テニスの練習記録アプリをClaude Codeで作り、着手から21日でApp Storeに公開しました。コードを書く作業は、ほぼAIに任せています。
それでも、学ぶ意味がなくなったとは感じていません。この記事では、AIに任せられたこと・任せられなかったこと、AIの「できました」という報告の誤りを見抜くのに実際に必要だった知識から、これから何を学べばよいかをまとめます。
結論:学ぶ意味はある。ただし学ぶ中身が変わった
詳細は後ほど説明しますが、AIでアプリを作って分かったことのまとめは以下となります。
| 項目 | 筆者の個人開発での実際 |
|---|---|
| 作ったもの | テニスの練習記録アプリ(iPhone向け・無料・広告なし) |
| 期間・作業時間 | 着手から21日でApp Store公開。人の作業は週10時間程度 |
| AIに任せられたこと | コードを書く作業のほぼすべて |
| 人に残ったこと | 何を作るかを決める/AIの報告が本当かを確かめる/申込・審査などの手続き |
| 学ぶ意味 | ある。コードを書く力より、仕組みを決める力と確かめる力の比重が大きくなった |
- コードを書く作業はAIに任せられたが、人の仕事がなくなったわけではなかった
- AIの「できました」の誤りに気付くには、開発の基礎知識が必要だった
- これから学ぶなら「設計」「検証」「人がやる手続き」の3つを意識する
アプリの内容や開発期間・体制の全体は、別の記事にまとめています。
▼Claude Codeでスマホアプリを個人開発した記録はこちら▼

AIに任せられたこと・任せられなかったこと
今回の開発では、Claude Codeのほかに7つの役割(PM・UXデザイナー・設計・フロントエンド・QAなど)のサブエージェントを1つのセッションから動かしていました。画面や機能を作るコードは、ほぼこの体制で書かれています。
一方で、次の作業は筆者が自分でやる必要がありました。
| AIに任せられなかった作業 | 理由・起きたこと |
|---|---|
| Apple Developer Programの申込と支払い | 本人の申込と決済が必要。1回目は通らず申込み直した |
| XcodeでのApple IDの再サインイン | 提出のたびにセッションが切れる。画面上は「サインイン済み」に見えるので気付きにくい |
| App Store Connectの入力と審査への提出 | ストアの掲載情報の入力と提出は人の操作 |
| アプリ名の商標確認 | 公開する名前の判断は人が行った |
| ドメイン取得・DNS・メールの設定 | 外部サービスでの契約と設定 |
| iPhone実物での確認 | 親指が届くか、屋外で見えるかは実機を持って試すしかない |
分かれ方を一言でまとめると、アカウント・支払い・契約・実物の確認は人、コードを書く作業はAIでした。
ただし、コードを書く作業も、AIに任せて放っておけたわけではありません。AIが書いたものやAIの報告を、人が確かめる必要がありました。ここに開発の知識が要りました。
AIの「できました」を見抜くのに要った知識
開発中、Claude Codeの報告や作業をそのまま受け取ったことで起きた事故が6つありました。そのうち、見抜くのに開発の知識が必要だったものを紹介します。
シミュレーターと実機の違い
Mac上でiPhoneの画面を再現するiOS Simulatorで確認した結果を、Claude Codeは「実機で確認した」と報告しました。そのため、ある不具合が3日間「直った」扱いになっていました。
シミュレーターはパソコンの中で動く再現環境で、実物のiPhoneとは別物です。この違いを知らなければ、「実機で確認しました」という報告を疑うきっかけがありません。
作業記録が最新かどうか
Claude Codeが1日前の状態のままの作業記録を読み、すでに終わっている作業を「最優先」と指名したことがあります。記録には、その作業が「プルリクエスト待ち」と書かれたままでした。
プルリクエストは、変更を本体に取り込む前に確認を依頼する仕組みです。実際の状態を自分で確かめられれば、「その作業はもう終わっている」とすぐに気付けます。AIは読んだ記録をもとに判断するので、記録が古いとAIの判断も古くなります。
自動チェックがいつ走るか
記録ファイルを置くフォルダだけを変更したときにビルド(アプリを動く形に組み立てる処理)が走らず、自動チェックが失敗していることを見逃したことがあります。
「どの変更で、どのチェックが走るのか」を知らないと、チェックが走っていないことと、チェックに通ったことの区別がつきません。
知識より「自分で触る習慣」が効いたもの
アプリの紹介ページに置いたApp Storeへのリンクが、ダミーのまま17日間放置されていたこともあります。気付いたのは、週1回のリリース作業の初回でした。
これは知識の問題というより、公開したものを自分で開いて確かめていなかったことが原因です。AIに任せる範囲が広がるほど、最後に人が触って確かめることの意味は大きくなると思います。
6つの事故の全体と、そこから決めたルールは、別の記事にまとめています。
▼Claude Codeに任せて失敗した設計と事故はこちら▼

これから学ぶべき3つ
ここまでの体験から、AI時代にプログラミングを学ぶなら、次の3つを意識するとよいと思います。
1. 仕組みを決める力(設計)
今回の開発では、失敗して作り直した設計が5つありました。たとえば、アプリのデータを新しい形式に変換する処理の書き方を誤り、そのデータベースが二度と開けなくなったことがあります。公開用サーバーのデプロイ回数の上限(1日100回)を使い切り、変更の反映が24時間止まったこともあります。
データをどう持つか、どのサービスをどんな制限の中で使うかといった全体の決め事は、コードを書けることとは別の知識です。AIに任せる場合でも、その決め事が妥当かを判断するのは人です。データベースやサーバーの基礎を知っていれば、こうした失敗には早く気付けたと思います。
2. 確かめる力(検証)
前の章の事故のとおり、AIの報告は正しいとは限りません。報告を受けたら、「何で・どこで確認したのか」を自分で確かめられることが必要です。
具体的には、シミュレーターと実機の違い、ビルドやテストの仕組み、変更履歴(Git)の読み方などです。コードを一から書けなくても、動かして確かめる手段を知っているかどうかで、事故に気付ける早さが変わります。
3. 人がやる手続き
アプリを公開するまでには、開発者登録・支払い・ストアへの入力・審査への対応といった、本人にしかできない手続きがありました。筆者も審査で1回差し戻され、英語で7項目に回答して承認を受けています。
作ったものを世に出すまでには、プログラミングの外側の仕事が必ず残ります。どんな手続きがあるのかを知っておくだけでも、つまずく回数は減ると思います。
▼App Store公開の登録・審査・差し戻しの実録はこちら▼

逆に気をつけてほしい学び方
気をつけてもらいたいのは、AIに作らせたものが動いたところで、学んだつもりになってしまうことです。
筆者の事故の多くは、AIの報告や作業をそのまま受け取ったことで起きています。動いているように見えることと、正しく動いていることは別です。AIに書かせたコードがなぜ動くのかを自分の言葉で説明できるか、ときどき確かめながら進めてみてください。
AIを使うこと自体を避ける必要はないと思います。大事なのは、AIの答えを「確かめる対象」として扱うことです。
筆者がAI開発エンジニアに移ったきっかけ
筆者は1社目のSIerで、Javaを使ったサーバサイド開発を要件定義からリリースまでひととおり経験しました。その後、未経験からSAPコンサルタントに移り、2026年にAI開発エンジニアへ転職しています。
AI開発に移るきっかけになったのは、Claude Codeを実際に触ったときの手応えでした。コードを書く作業そのものがAIとの共同作業に変わっていく感覚があり、この技術に触れられる環境で働きたいと考えるようになりました。年収が下がると分かっていて転職を決めた経緯は、別の記事にまとめています。
▼SAPコンサルからAIエンジニアに転職した体験談はこちら▼


AIを使った開発を仕事にしたいと考えている方は、AIエンジニアの年収相場も確認しておくと、学ぶ目標を決める材料になります。
▼AIエンジニアの年収相場はこちら▼


学び始める方法
これからプログラミングを学び始める方には、大きく3つの方法があります。どれが正解ということはなく、自分の状況に合うものを選びましょう。
| 方法 | 向いている人 | AI時代の進め方のポイント |
|---|---|---|
| 独学(小さなものを作る) | 作りたいものがはっきりしている人 | AIに作らせたものを自分で動かし、なぜ動くのかを確かめながら進める |
| 資格を目標にする | 何から学べばよいか分からない人 | 試験範囲に沿って、データベース・ネットワークなどの基礎を体系的に押さえられる |
| プログラミングスクール | 独学が続かない人・質問できる相手がほしい人 | 分からないところを人に聞ける環境で、基礎を短期間で固める |
「設計」と「検証」の土台になる基礎を順番に押さえたい方は、未経験・初心者向けの資格から始めるのも1つの方法です。
▼未経験・初心者向けのIT資格はこちら▼


資格を目標にする場合、AI時代に資格を取る意味そのものが気になる方もいると思います。筆者の転職や失効したAWS認定の実例から、別の記事にまとめています。
▼AI時代にIT資格は意味ないかはこちら▼


独学が続くか不安な方や、質問できる相手がほしい方は、プログラミングスクールも選択肢になります。料金や特徴はスクールごとに大きく違うので、比較してから選んでみてください。
▼プログラミングスクールの比較はこちら▼


さいごに
AI時代にプログラミングを学ぶ意味があるのかを、Claude Codeでスマホアプリを作って公開した体験からお伝えしました。
要点を1つにまとめると、学ぶ意味はあります。ただし、コードを書く力より「決める力」と「確かめる力」の比重が大きくなりました。
これから学び始める方は、AIを使うことをためらわず、そのうえでAIの答えを自分で確かめられるだけの基礎を身につけてみてください。小さなものを1つ作って公開してみると、AIに任せられることと、人がやるべきことの境目が実感できると思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
▼Claude Codeで個人開発したときの料金・実費はこちら▼


※本記事の情報は2026年9月時点のものです。紹介したサービスの仕様・条件は変更される場合がありますので、最新情報は公式サイトでご確認ください。


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