AWS認定の最上位クラスにあたる「AWS Certified Solutions Architect – Professional(通称:AWS SAP)」の取得を検討している方の多くが気にするのが、「この資格は転職で本当に評価されるのか」という点ではないでしょうか。
筆者は2022年にAWS SAPを取得し、その資格を持った状態で実際に転職活動を行いました。結論から言うと評価はされましたが、「資格を持っているから内定が出た」という単純な効き方ではありませんでした。
この記事では、AWS SAPがどんな資格なのかを整理したうえで、実際に取得して転職した立場から「どの場面で効いたのか」「逆に効かなかったのは何か」を具体的にお伝えします。
結論:AWS SAPは評価される。ただし効くのは「実務とセット」になったとき
先に、この記事でお伝えしたい結論をまとめます。
- 書類選考の通過には効く(応募したい企業の書類選考はすべて通過できた)
- 面接で評価されたのは資格そのものではなく、AWSで実際に作ったものの話だった
- 社内でもAWS関連の案件にアサインされやすくなり、実務経験を積む循環につながった
つまりAWS SAPは、選考のスタートラインに立たせてくれる資格であり、そこから先の評価は「AWSで何を設計・構築したか」で決まる、というのが実際に使ってみた感覚です。
AWS SAP(ソリューションアーキテクト プロフェッショナル)とはどんな資格か
AWS SAPは、AWS認定資格のなかでプロフェッショナルレベルに位置づけられる資格です。AWS上で複雑な要件を満たすシステムを設計・最適化できるかを問われます。
試験の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験名 | AWS Certified Solutions Architect – Professional |
| 試験コード | SAP-C02 |
| 問題数 | 75問(択一選択・複数選択) |
| 試験時間 | 180分 |
| 合格スコア | 750点(100〜1000点のスケール) |
| 推奨される経験 | AWSでのクラウドソリューションの設計・実装において2年以上の経験 |
| 認定の有効期間 | 3年間(期限前の再認定が必要) |
| 受験料 | 変動するためAWS公式サイトでご確認ください |
受験にあたって前提となる必須の資格はありませんが、AWS公式は2年以上の実務経験を推奨しています。実際、実務でAWSを触っていない状態で挑むと、かなり厳しい試験だと思います。
SAA(アソシエイト)との違いは「知識」か「判断」か
アソシエイトレベルのSAA(ソリューションアーキテクト アソシエイト)が「各サービスの役割を知っているか」を問う試験だとすれば、SAPは複数の正解候補のなかから、要件に対して最も適した構成を選べるかを問う試験です。
問題文が長く、既存システムの移行・マルチアカウント管理・コスト最適化・可用性など、実務でぶつかる前提条件が細かく設定されています。選択肢はどれも「動きはする」構成で、そのなかから制約に合うものを選ぶ形式です。用語を暗記しただけでは太刀打ちしにくいのはこのためです。
AWS認定資格の全体像やレベル別の位置づけは、以下の記事にまとめています。

補足:ERPの「SAP」とはまったく別物です
紛らわしいのですが、この記事で扱う「SAP」はAWS認定資格の略称であり、ERPパッケージのSAP(SAP S/4HANA等)とは別物です。筆者はSAPコンサルタントとしてERPのSAPを扱う仕事もしていたため、この2つが会話のなかで混ざる場面を何度も経験しました。
職務経歴書に「SAP」とだけ書くと採用担当者が読み違える可能性があるため、「AWS認定ソリューションアーキテクト – プロフェッショナル」と正式名称で書くほうが安全です。これは実際に書類を書いていて気をつけた点でもあります。
筆者がAWS SAPを取得したときの状況
評価の話をする前に、どういう状態で取得したのかを先に書いておきます。前提が違うと参考にならないためです(筆者の経歴はプロフィールにまとめています)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 取得時期 | 2022年 |
| 当時のAWS実務経験 | 3年 |
| 勉強期間 | 3か月 |
| 勉強時間 | 約80時間 |
| 受験回数 | 1回(一発合格) |
| 使用教材 | Udemyの対策講座とWEB問題集 |
勉強時間が80時間で収まったのは、実務でAWSを3年触っていたぶん、問題文の前提がイメージできたことが大きいです。逆に言えば、実務経験がない状態で同じ時間で合格するのは難しいと思います。
なお正直に書いておくと、この認定は3年の有効期間を過ぎ、現在は失効しています。転職活動をしたのは有効期間中でしたが、その後AWS中心の職種から離れたため、再認定は受けていません。失効した資格をどう扱うかについては、後半のよくある質問でも触れます。
教材はUdemyの対策講座で出題範囲を一通り押さえ、あとはWEB問題集をひたすら回すという進め方でした。SAPは長文の問題に慣れることが重要なので、問題演習にかける時間を多めに取っています。
Udemyについては、実際に受講したAWS講座の感想を以下の記事にまとめています(紹介しているのはアソシエイト・クラウドプラクティショナー向けの講座が中心です)。

転職活動でAWS SAPはどう評価されたか
ここからが本題です。AWS SAPを保有した状態で転職活動をして、実際にどう評価されたのかを場面ごとに書いていきます。
書類選考:応募したい企業はすべて通過できた
いちばん分かりやすく効果を感じたのが書類選考です。転職活動では応募を希望した企業の書類選考をすべて通過できました。
書類は職務経歴と資格しか情報がないため、プロフェッショナルレベルの資格は「一定水準以上のAWS知識がある」という判断材料として機能しやすいのだと思います。ここは資格が単体で効く数少ない場面です。
実は筆者は入社4年目のときにも一度転職活動をしていて、そのときは内定を得られず途中で終えています。当時と比べて明確に変わったのが、この書類選考の通過率でした。
面接:評価されたのは資格ではなく「実際に作った仕組み」だった
一方で面接では、「SAPを持っているから採用」という空気にはなりませんでした。実際に評価されたのは、CloudWatchなどを使ってJOB監視の仕組みを構築した経験について話した部分です。
どういう課題があって、なぜその構成にしたのか、運用でどう変わったのかを説明したところ、面接官の反応が明らかに変わりました。資格は「話を聞いてもらえる状態」を作ってくれますが、評価そのものは実務の話で決まった、というのが実感です。
逆の見方をすると、SAPの学習範囲は実務で作ったものを言語化するのに役立ちます。可用性・コスト・運用性といった観点で自分の構成を説明できるようになるため、面接での説明の解像度は確実に上がりました。
年収:転職で約650万円から約840万円になった
金額の話もしておくと、1社目のSIer時代の終盤で年収は約650万円、転職した2社目では約840万円になりました。
ただし正直に書いておくと、これはAWS SAPだけの効果ではありません。それまでの開発経験・リーダー経験を含めた総合的な評価であり、最終的に選んだ転職先もAWSの構築を専門とする職種ではありませんでした。資格が年収を直接上げるというより、複数の選考に進んで比較できる状態を作れたことが結果につながったと捉えています。
このときの転職活動の進め方は、以下の記事に詳しくまとめています。

社内評価:AWS関連の案件にアサインされやすくなった
見落とされがちですが、転職市場より先に効いたのは社内でのアサインでした。SAPを取得してからAWS関連の業務を割り当てられやすくなり、結果として実務経験が積み上がっていきました。
転職の観点で言えば、これがいちばん大きい効果かもしれません。資格そのものより、資格をきっかけに得た実務が職務経歴書の中身になるという循環が生まれるためです。すぐに転職しない方でも、この点はメリットになります。
「AWS SAPを持っていても評価されない」ケース
良い面だけ書いても参考にならないので、評価につながりにくいパターンも挙げておきます。
- AWSの実務経験がまったくない場合
- 応募先がAWSを使っていない場合
- 資格を並べるだけで、何を設計・構築したかを語れない場合
特に3つ目は、面接で必ず突かれます。プロフェッショナルレベルの資格を持っていると、面接官の期待値も上がった状態で質問が来るため、実務の話ができないと逆にギャップが目立ってしまうという側面もあります。
また、オンプレミス中心の環境や、クラウドを使っていても他社クラウドが中心の企業では、当然ながら評価されにくくなります。応募先の技術スタックとの相性は事前に確認しておいたほうがよいです。
AWS SAPが特に効く職種・企業タイプ
逆に、SAPが効きやすいのは次のような転職先です。
| 転職先のタイプ | SAPが効く理由 |
|---|---|
| クラウド構築を行うSIer・SES | 提案・見積の段階で有資格者が求められる。パートナー要件で資格保有者が評価される場合もある |
| 事業会社の社内SE・情報システム | 自社インフラの設計判断を任せられる人材として見られる |
| 自社開発企業のインフラ・SRE | 可用性・コスト最適化の設計観点がそのまま業務に直結する |
| クラウド移行案件を持つコンサル系 | オンプレからの移行設計はSAPの出題範囲と重なる部分が多い |
共通しているのは、「AWSを使うこと」ではなく「AWSでどう設計するか」を求められるポジションである点です。手を動かす作業者ではなく、構成を決める側の役割を狙うときにSAPは効きます。
なお、AWS資格保有者向けの求人数や年収レンジを紹介している記事もありますが、この数値は求人サイトや時期によって大きく変わります。自分の経歴でどのくらいの条件が狙えるかは、実際の求人票を見て確認するのが確実です。
これから取る人へ:SAAからSAPまでのルート
いきなりSAPから受けることも制度上は可能ですが、おすすめはしません。筆者自身もアソシエイトを経てからSAPに進みました。
- CLF(クラウドプラクティショナー)でAWS全体像をつかむ ※実務経験がある方は飛ばしてよい
- SAA(ソリューションアーキテクト アソシエイト)で設計の基礎を固める
- 実務でAWSを触る期間を確保する(公式推奨は2年以上)
- SAP(プロフェッショナル)に挑戦する
ステップ2のSAAについては、勉強方法と教材を以下の記事にまとめています。SAPを見据えるなら、SAAの段階で「なぜその構成なのか」を意識して学習しておくと後が楽になります。


転職でAWS SAPを評価してもらうための「見せ方」
同じ資格を持っていても、伝え方で評価は変わります。実際に転職活動をして効果があったと感じたのは次の3点です。
- 正式名称で書く(ERPのSAPと誤読されないようにする)
- 資格欄ではなく、職務経歴の実績とセットで語る
- 「何を作ったか」を可用性・コスト・運用の観点で説明できるようにしておく
特に2つ目が重要で、資格欄に並べるだけでは「勉強熱心な人」で終わってしまいます。担当した案件の説明のなかで「この構成を選んだ理由」として資格で学んだ観点を織り込むと、知識が実務と結びついている印象を持ってもらいやすくなります。
とはいえ、自分の経歴のどこが評価されるのかは、自分では判断しづらい部分です。筆者も職務経歴書の書き方は転職エージェントに相談しながら整えました。IT業界に特化したエージェントであれば、AWS資格をどう見せると刺さるかも含めて相談できます。
▼資格を活かして転職したい方はこちら▼

よくある質問
Q. 実務未経験でもAWS SAPに合格できますか?
A. 受験に前提資格はないため挑戦自体は可能です。ただしAWS公式が2年以上の設計・実装経験を推奨しているとおり、問題文の前提が実務ベースで書かれているため、経験がない状態では負担がかなり大きくなります。まずはSAAから進めるのが現実的です。
Q. 資格に有効期限はありますか?
A. AWS認定は3年間有効で、期限が切れる前に再認定を受ける必要があります。応募前に自分の有効期限を確認しておきましょう。
Q. 失効した場合、その資格は無意味になりますか?
A. 筆者自身、2022年に取得したSAPは現在失効しています。ただ、失効してもその範囲を学んだ事実と、そこで身についた設計の考え方が消えるわけではありません。実際、面接で評価されたのは資格の有無そのものではなく、AWSで何を設計・構築したかの話でした。
職務経歴書に書く場合は、取得年を明記しておくのが誠実です。現在も有効かどうかを確認されたときに答えられるようにしておけば、後ろめたく感じる必要はありません。逆に、AWSを主戦場にし続けるつもりなら、失効前の再認定は受けておいたほうが選考でのノイズが減ります。
Q. SAPとDOP(DevOpsエンジニア プロフェッショナル)はどちらを先に取るべきですか?
A. 設計・アーキテクチャ寄りのキャリアを目指すならSAP、CI/CDや運用自動化寄りならDOPが向いています。求人票で求められる経験に近いほうを選ぶのがおすすめです。
Q. SAAだけでは転職で不利になりますか?
A. 不利になることはありません。SAAでも「AWSの基礎知識がある」という証明にはなります。ただし経験者採用の枠で他の応募者と並んだときに、プロフェッショナルレベルの資格は差別化の材料になりやすいです。
さいごに
AWS SAPが転職で評価されるかについて、実際に取得して転職した立場からお伝えしました。
あらためて整理すると、AWS SAPは書類選考を通してくれる資格であり、面接で評価されるのはその先の実務の話です。そして取得後にAWS案件へアサインされやすくなることで、語れる実務が増えていきます。この循環を作れる点が、この資格の本当の価値だと感じています。
取得を迷っている方は、まずSAAから着実に進めてみてください。すでに保有している方は、資格そのものではなく「資格で学んだ観点で自分の実務を語れるか」を準備しておくと、転職活動での効き方が変わってきます。
※本記事の情報は2026年8月時点のものです。試験の内容・受験料・認定の有効期間は変更される場合があるため、最新情報はAWS公式サイトでご確認ください。


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